復讐を誓った日
████・イシマエルその日は穏やかで、特に何事もなかった日だった
いつものように朝は何処か狂気染みた目で何かを追っている義理の親に鍛えられていて、昼から友人と遊ぶ約束があったから遊びに行っていた
……三時間ほどしたぐらいで、雲行きが怪しくなり、嵐がやってきた。私は友人たちと一緒に急いで走っていて………
あのクソ鯨が突っ込んできて、友人を地面ごと喰らった
助けようとしていたヒーローも喰らった
何もかもを喰らった
それだけで済めば良かった
数日たったある日、未だにクソ鯨は去らずにサンフランシスコの街を喰らっていたある日、義理の親が言い始めた
「私はあの鯨を追うためにここに移住した」
「最初の数日は計算していたが故に、数多の人は助けられなかったが殺しの算段がついた」
「皆、私に委ねてくれ」と
数日たって判断力を失っていた人達の全員が、それに賛同した
そして、義理の親に全てを委ねて………
私以外の、全員が取り込まれた
後から知ったが、避難所にはサンフランシスコの人口の半分が避難していたと聞いた
……その全員を、義理の親は取り込んだ
そこから先は地獄だった。街並みは壊され、喰われ、地面も抉れ、喰われ、私が産まれ、6年もの間育った街がブッ壊れていった
友人といつか行こうと約束していた遊園地が壊れた
互いに夢を語った教会が喰われた
大人になったら飲みに来いと言われた酒場が潰れた
私の思い出が、全て消えた
……そこから先のことは覚えていない。更地になり、半分に減ったサンフランシスコにただ一人立っていたらしい
義理の親────エイハブも、クソ鯨────「白鯨」も何処かへ去ったと聞いた
生き残りは、私しかいなかった
そして私に残ったのは、アイツらに対する復讐心だけだった